【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
──今は、あいつのことばっか。
そう呟く岬は、至って真剣で。ふざけてる様子なんてどこにもなくて、思わず息が詰まった。
「今日、お前が羽歌のこと送ればいい」
「………」
「俺はまだ送ってやれないからな」
そう言った俺に、岬は「わかった」と短く返事する。
その表情は少し暗くて、でも思い詰めてるというわけではなく、ただ単に何かを深く考えているような表情だった。
だから、見ていられなかった。
きっと、俺の心の奥にしまった〝秘密〟は誰も知らなくて。
「俺、今日帰んの遅くなると思う」
「………」
「あいつに、ちゃんと話してくるわ」
そう言って吹っ切れたように笑った岬に返す言葉が見つからなくて、小さく「ああ」と返した。
──今さら、俺が好きなのは羽歌の方だ、なんて。結局、言えるわけもないまま。
【乃唯sideend】