【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-



【side岬】



ものすごく、躊躇った。



──だって、まさか。こんな簡単に、自分の気持ちが変わるだなんて思ってなかった。ましてや、嫌ってたはずの女を、好きになるだなんて。



でも、あの時。



〝羨ましい〟と、何気なく口にしたとき。



俺の中で、何かが変わった。



──強くて、わがままで。そんなイメージが一気に崩れ去るような言葉だった。

なんでも持ってんのに、あいつにとっては羽紗が羨ましい対象だった。それを聞いた時に、思ってしまった。




──強がり、なんじゃねぇかなって。



そう思った途端に、今までの行動すべてが本当はか弱い自分を守っているようなことばかりで。



守ってやらねぇとって、無意識に思ってた。



「なぁ」



──羽歌を、マンションまで送ったとき。声をかければ、「なに?」と首を傾げる。バイクを降りてメットを外すと、痛くない程度に腕を引いた。



「っ、きゃ」



油断していた羽歌は、簡単に腕の中に収まって。小せぇし、細いし……触れたら、壊れてしまう気がする。



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