【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
「なに、するの、」
俺がまさかそんなことをするだなんて思ってなかったからか、俺を見上げる瞳はひどく戸惑っていて。
そのまま頬に手を添えれば、羽歌のまつ毛が微かに揺れる。それさえも愛おしく感じるだなんて、マジで重症かよ。
「だ、め……っ」
羽歌が、俺の胸を押し返す。震える声を紡いだその唇を、塞いでしまいたくなった。
そのまま唇を重ねてしまえば、羽歌はどう反応するんだろうか。──嫌がるに、決まってるけど。
「別に、キスしねぇから」
「っ、じゃあ」
羽歌の腕をそっと掴んで、頭の上にぽんと手を乗せる。それから、小さくため息をついて、意を決すると口を開いた。
「俺の話、聞いてくれるか」
「え……」
羽歌の瞳が、揺れる。それから俺の服をほんのすこし握って。「部屋、上がってく……?」なんて、言うから。
「……ああ」
やっぱり触れたくなった。女に触れたいだなんて思うのは、きっと〝あの時〟ぶりで。戸惑って、どうしようもなくて。
──でも、その事実を今ならなんとなく話せる気がした。