【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
乃唯のその言葉に負けて、羽紗にこの話をしただけだった。でも、羽紗は。
俺の話を聞いて、瞳を潤ませて。泣きながら、言ったんだ。
「私が、そばにいるから」
──はっと、顔を上げる。そうすれば、羽歌が〝あの時〟と同じ、双子と同じ言葉を口にした。
「羽紗は、そう言ったんでしょうね」
「なんで、」
「わかるわよ。私は……
──羽紗に、その言葉で自分の彼氏を取られたんだもの」
冷たい目で、静かに告げられたそれは、シンとした部屋には十分響いて。理解した時の俺の表情は、きっと驚きに満ちていただろう。
「取ら、れた?」
「そう、取られたの」
素っ気ないのに、その言葉はどこか悲しみを含んでいる気がして。そっと手を伸ばして、羽歌を引き寄せても、羽歌は何も言わなかった。
「あなたは確かにつらい思いをしたけど、
実際には羽紗を好きになってる」
「……そうだな」
「──過去なんて、とっくに解決してるじゃない」