【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
羽歌の言葉が、抱きしめてるせいでくぐもってる。
「信じられないかもしれない。
──でも、努力すればあなたは誰かのことを信じてあげられる。そうでしょう?」
「………」
「だって、あなたは優しいから」
落とされた言葉が、じわりと心の中に染み込んで。──あの日空いた空白を、埋めた気がした。
「私はね、羽紗じゃないの。だからあの子ほど優しくないし、あの子ほど誰かのことをわかってあげられない。冷たいから。
でも……その努力は、してるのよ」
きっと、俺の求めていた言葉はそれだったんだと思う。過去のことなんかじゃなくて。〝未来〟のことを、この先のことを、誰かに約束して欲しかった。
「……マジで、お前ってさ」
「何かしら」
「……なんでもねー」
羽歌の肩に、顔をうずめる。そうすれば羽歌が手で優しく頭を撫でてくれた。
──慣れてねぇ感、半端ない。まぁ、こいつが誰かの頭撫でたりするような性格じゃねーのは知ってるけど。
「素直になるって、難しいわよね」
どうしてかその優しさが、苦しいほどに俺の胸を締め付けるから。
──涙が溢れたのは、きっと、その苦しさのせいだ。