【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-



ぽんぽんと私の頭を撫でた彼が、外へ出るとぱたんと扉が閉まる。



部屋の中が、さっき以上にシンとして。



カップを片付けたあとに外を見ると、パラパラと雨が降り出していた。岬、濡れてないかしら……。



──そういえば、あの日も雨だった。



中学の頃から、よく和泉の家に勝手に入って自分の家のように好き勝手していた私。その日も、雨が鬱陶しくて。



でも、中学からずっと普通の高校に入っている私。神無月の支持を集めるために、庶民の生活を経験する。



ということでその頃から経験させられていた。つまり、小学校までは車通学だったのに、徒歩通学となったわけで。




「だるい……」



家まで帰るのが遠くてめんどくさくなった私は、よく家よりも近い和泉のマンションで入り浸ってた。

和泉は取れる最低の年齢から車の免許は持ってたし、車も持ってた。



だから、夜遅くまで和泉の家に残っていたら、高確率で家まで送ってくれたから。



あの日も、そう。いつもと同じように和泉のマンションに着くと、合鍵で中に入って、ソファでくつろいでた。



そうすれば、少ししてガチャっと扉が開いて。玄関に駆けていけば、「また来てんのか」と呆れられる。



でも和泉は追い返したりしないし、お菓子も出してくれる。甘やかしてくれる、大好きないとこのお兄ちゃん。



その日は、それがいつもとほんの少しだけ違った。



< 74 / 368 >

この作品をシェア

pagetop