【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-



「あ、れ?」



「あー、そっか。

お前は全然知らないんだもんな」



〝暴走族〟とやらに、和泉が入っていたということは知ってる。



どうやら、その知り合いらしく〝その子〟は私にふわりと微笑んで。

そして、優しい声で「西成 咲乃(にしなり さきの)です」と自己紹介してくれた。



──これが、咲乃と出会った瞬間。



第一印象は、優しそうな男の子。



そして実際、彼はとっても優しかった。人懐っこくて、みんなから好かれるような男の子だった。




私の何気ない話にも付き合ってくれて。



はじめは和泉を通して会っていたのに、気がつけば、ふたりで会う機会も増えて。

──自分がこれ以上ないくらいに惹かれてるのは、わかってた。



そんなある日、咲乃に「遊びに行こう」と誘われたのが季節はずれの海で。



でも夏前だったから、膝ぐらいまでは入ったりして。ふたりでひとしきりはしゃいだ後、なんだか良いなって思ってしまうような雰囲気になった。



そして。



「俺……

やばいぐらい、羽歌のこと好きかもしんない」



──打ち明けられたそれは、私たちの関係を確実に変えた。



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