【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
「は……?」
目の前の人物が、間抜けな声を漏らす。そしてすぐに慌てた顔になって、一度部屋の中へ戻っていった。
「馬鹿かお前……っ!
雨どしゃ降りになってんのに、なんで傘もささずに来てんだよ……!」
すぐにタオルを手に戻ってきた和泉が、雨の雫を垂らす私を拭いていく。
でもすぐに、とあるところで視線が止まって。「どこ見てんの」と小さく告げた私に、彼は大袈裟なため息をつく。
「夏でもさすがに暗いし、今日雨降ってんだからさらに暗いだろ……。
んな薄着でひとりで歩いてたら、すぐにでもヘンな男に捕まるっての」
なんもなくてよかったわ、とほっとしたように言う和泉。
さっき和泉が視線を止めた胸元は雨で服が透けていて、確かに我ながら無防備な格好だな、と思う。
「キリねぇな……
とりあえず、廊下が濡れるぐらいどうってことねぇから、風呂入って来い」
私に靴を脱ぐように言うと、靴を脱いだ私の腕を引っ張ってお風呂場へと連れていく。
「着替えはまた探しといてやるから」
そう言った和泉がぱたんと扉を閉めたことで、お風呂場にひとり取り残された私は、仕方なくお風呂に入ることにした。
どうして、さっきよりもきつくなった雨の中を、傘をさすこともなく歩いてきたのか私にもわからない。
ただ……
「寂しかった、だけ……なのかな」