【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
なんとなく、和泉のところに行こうと思った。それだけ。──和泉なら、私の寂しささえなんとかしてくれる気がして。
「迷惑な女ね……」
もし和泉に彼女ができたらどうしよう。
──ああでも、和泉は。私の婚約者、なのか。返事は聞いてないけれど、和泉は引き受けてくれていると思う。
「羽歌……着替え置いとくから。
しっかり温まってから出てこいよ」
「うん、ごめんね」
扉の向こうから、「別に」と聞こえた。私に深く聞かないのは、きっと彼の優しさなんだろう。
──あとで聞かれるのかも、しれないけど。
寂しいって正直に言おう。ああ、羽紗が帰ってくることも、彼女から連絡がずっと来ていることもちゃんと話さなきゃ。
「……はぁ」
改めて、色々考えるとため息が漏れた。
でも、和泉に言われたとおり、ちゃんと温まってからお風呂を出ると、彼が用意してくれていた服に着替えてリビングに向かう。
扉を開けると、和泉は「こっち来い」といつもと変わらない声で私を呼んだ。
無言で近づくと、腕を引かれる。彼の隣に座れば、タオルでくしゃくしゃと髪を拭かれた。