【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
「羽紗の居場所、知ってたんだろ?」
「なんで、知ってるの……」
「ん?お前の父親から聞いた」
それを聞いて〝ああ〟と、納得する。羽紗の居場所は、かなり早くから知っていた。
神無月の情報網を使えば簡単に割り出せるし、何よりあの子は私に毎日連絡してくる。
「あの子が帰ってきたら、
私が彼らのそばにいる必要はないわね」
──〝身代わりの姫〟
それが、私の肩書きなんだから。
「それが、ちょっとさみしいだけ」
「〝ちょっと〟って顔じゃねぇよ」
とんとんと、背中をあやすように優しく叩かれたら、自然と涙がこみ上げてくる。
「お前はやっぱり、無理するんだな。
嫌いだって口では言うくせに、羽紗のことも咲乃のことも嫌いにはなりきれない」
ぎゅ、と、彼の服を握る。
最近、どうしようもないほどに和泉の前では弱くなってしまう。彼にしか、もはや自分の気持ちを言うことができない。
全部受け止めて、優しい言葉をかけてくれる和泉は、いまではいなくてはならない存在で。彼が婚約者であることに、ほっとした。