【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
06.あと少しの肩書き
「……ん、」
ぴくっと、自分の指先が揺れた。そして、瞼を持ち上げれば、いつもと違う天井。でも、どこか見覚えのあるそれは。
「起きたか?」
「和泉……」
寝室の扉がカチャリと開いて、和泉が入ってくる。そのまま近づいてきた彼は、私の額に手を当てて。
「しんどくないか?」
「うん、大丈夫……よ?」
寝起きの頭だと、彼の行動を理解できなくて困る。
そんな私に気づいてなのかどうなのか、和泉は「すぐに風呂入らせたのがよかったんだな」と言葉を発して。
──ああそうか、昨日、びしょ濡れで彼の家に押しかけたんだっけ。確かによくあれで風邪ひかなかったな、私。
いまのは、風邪引いてないかの確認だったのか。
……って、あれ?
「ごめっ、あの……私、
昨日泣いてそのまま眠った……?」
「あー、そうだったな。
誰が寝室まで運んだと思ってんだ」
ごめんなさい、と謝ろうとするけれど。怒っているというよりも、拗ねているような彼がすこし可愛くて。