【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
「乃唯、もう退院していいって」
カラ、と軽い音を立てて扉が開く。部屋に入ってきた彼は、「羽歌ちゃん」と私の名前を呼んだ。
「なぁに?稀沙(きさ)」
「病室の外で、岬(みさき)が待ってるから。
岬と一緒に、先に帰っててくれるかな?」
「……乃唯と、稀沙は?」
「俺らは、ハチさんのところに事情を話しに行かなきゃいけないんだよね」
〝ハチさん〟
彼らの先代にあたる人物らしく、何かと彼らに協力してくれるのはハチさんだと、前に稀沙から聞いた。
実際に会ったことはないけれど、私がいま羽紗の代わりに彼らの姫としてそばにいることも、ちゃんと知ってくれているらしい。
みんながハチさんのことを大好きだということは、見ていればわかる。
「わかった。じゃあ、先に帰ってるわね。
乃唯、荷物あるなら持って帰るわよ?」
「いや、言うほどねぇから大丈夫だ」
「そう……?
じゃあ、またあとでね」