雨木ちゃんにしては失意な恋

夜、草野と何回か身体を重ねた。

えつこは眠っていた。

物音がして目を覚ますと、草野が縁側に座って月を見ている。

これから、草野は社会人になろうとしていることはえつこにも理解できた。
けれどあんなに何でもかんでもめんどうくさそうにしている草野が、会社でいろんな人間達と上手くやっていけるのかと考えると、それは無理そうだった。

第一、リストカットなどしていることがばれたら何と噂されるかわかったものじゃない。

「起きてたの…?」

そっと草野に触れると、草野はえつこを見ないでうなずいた。
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