雨木ちゃんにしては失意な恋
夏の終り
草野は死んだ。

実家で死んだために葬儀や何やらで数日は忙しく、私も手伝ったからゆっくりと悲しむ暇もなかった。

おば様やおじ様は悲しむというより、
残念そうにしてた。

生きていれば必ずいいことがあるから、
透も生きていたらよかったのに…と。

そういえば私は草野を透と呼んだことがなかった。

だって、トオルちゃんと被る。

一度でも呼んでみればよかった。

そのために、たくさん時間を作って
過去を乗り越えようと私はしたのに、
草野はそんな時間も与えてくれずに
さっさと死んでしまった。

私を殺すのにはあんなにためらっていたくせに、自分が死ぬときにはあっさりと死んじゃったんだ。
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