雨木ちゃんにしては失意な恋
ただ置いたわけじゃないことはえつこにもわかった。
沼田はそのままえつこの制服の中に手を滑り込ませ、胸に手を当てた。
「雨木さんならわかるよねぇ」
えつこはたった15年しか生きてこなかった。
わかることとわからないことがまだまだたくさんある。
何が正しくて何が正しくないのか、この時えつこにはわかるはずもなかった。
大人は正しい。
そう思い込むことで、今後の自分の道が開けたような、そんな気になった。