雨木ちゃんにしては失意な恋
「自分が何をしたかわかってるの!?」
浪江は自分の髪をかきむしり、息づかいも荒くなっていた。
「どうしてそうやって私達の気を引こうとするの? 昔から、あんたは、トオルを羨んで…。いい加減にしなさい!
勉強ができなかったならできないでいいわよ! なのにそんな、教師をたぶらかすような真似して!! 卑しい子ね!!」
そして浪江はえつこのちいさな頬をひっぱたいた。
何度も、何度も何度も何度も。
えつこは抵抗できずに床に倒れ、右も左も、頬が腫れてボーッと熱くなるのを感じた。
浪江はそんなえつこの服の襟をつかんで、玄関まで引きずった。
そしてドアを開けると、えつこを思いきり蹴り飛ばし、表にほっぽり出した。