雨木ちゃんにしては失意な恋
一時間待っていると、ようやく一人の男が、えつこの目の前にやってきた。
正直、すっぽかされたと思ったえつこは
それはそれでいいか、という気にもなっていたので、この草野の登場は思いもよらなかった。
「えーとアメキさん?」
草野は背こそ高かったが、手足が細く、貧弱で、人以前に虫すら殺したこともなさそうな男だった。
でも、こういう人限って突拍子もない、事件を起こすものなのだ。
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