雨木ちゃんにしては失意な恋

草野はえつこを殺す上で、ちゃんと死にたい理由を教えてもらわないと安心して殺せないと言うので、めんどうくさいと思いながらえつこは事情を話した。

「俺が人を殺したい理由も、死に際の餞別に聞いてくれないか」

えつこの返事を待たず、草野は自分について話し始めた。

自分は大学生なのだが、今は大学には通っていない。地元の親に隠れて休学していて、親から学費をだまし取って生活している。
どうせ父親の会社に入るのだからもうそろそろ大学は辞めようと思う。
記念に一人、人でも殺そうかと思っていたところであった。
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