雨木ちゃんにしては失意な恋

「さっさと殺してよ」

えつこはチェストを勝手に開け、中を探ると、ロープが出てきた。

「これでいいや」

すかさずそれを草野に投げつける。

「絞殺。それで私を殺して」

草野はロープを拾い上げ、えつこにゆっくり近づいた。

えつこは怖くなどなかった。

やっと解放される…

そう思うと涙さえ出てきそうになる。

草野はえつこの細い首にロープを巻きつけて、試しに両端をぐいっと引っぱった。
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