雨木ちゃんにしては失意な恋
「…はぁ。あいつらがさ、俺の事散々バカにしてきたくせに…俺の研究データ喜んで使っていやがったの…
おかしいよな。笑っちまうよ…」
未だに、忘れられずにいる。
「大学はもう辞めるんでしょ…」
「そうだ、もう…辞めるよ」
壁にもたれ、血の吹き出した手首を胸に当てて、草野はえつこに言った。
「それよりごめん…止血して…やばいよ、これ深く切りすぎた…」
「……バカじゃないの!?」
えつこは急いで手首に触れた。
血は傷から止まることなくダラダラと流れ続けている。