雨木ちゃんにしては失意な恋
服は全て草野のお下がりで、でもそれだけで十分に足りた。
そういった服や、自分達の歯ブラシ、
生活用品をカバンに詰めて、荷造りをする。
なんてことないはずなのに、えつこは
すごく楽しかった。
須藤一家と行く旅行は、どこか不穏な空気がただよっていて、えつこがいなかったらもっと楽しかったのにね、と言われそうなものばかりだったのだ。
「楽しいね、草野」
「そんなの…ただ田舎に帰るだけだよ」
しかし草野は手伝うものの、常にめんどうくさそうにしていた。