雨木ちゃんにしては失意な恋
草野の実家は大きな平屋で、いかにも
実家という感じがした。
「ただいまあ」
草野が玄関で言うと、奥からぱたぱたと女の人が出てくる。
朝顔柄の浴衣を着て、涼しげだ。
「お帰りなさい、透さん」
そしてえつこを見て、あら?という表情になる。
「…どなた?」
「あー…恋人」
草野はめんどうくさそうにそう答える。
「あらまあ、どうも透の母です」
草野の母は深々とおじきをした。
えつこもつられておじぎする。