雨木ちゃんにしては失意な恋
「強引なんだから…」
「昔、こうしてたんだ。…ずっと夏は…こうしてた。大学に行くまではそれが当たり前だと思ってたな」
そして、またぼんやりと空を眺める。
真っ青な空は立派な入道雲を浮かべ、
ただ目の前にあった。
「話、どうだったの」
「んー、話したよぜんぶ」
「…そう」
「大学にはもう行ってないし、もう辞めるつもりだって言ったよ」
「怒ってなかった?」
奥の部屋から声を荒らげる様子はなかったが、念のためにえつこはたずねる。
「ぜーんぜん」
草野はハハハと乾いた笑い方をした。