トワイライト
特別な日
はらはら、と
不規則に散ってゆく。
淡い桃色に人の視線は釘付けだ。
そよそよと流れる風さえも、花びらをかろやかに人々のもとへ運んでいる
風は歌い、甘い香りが舞い踊る。
…しかし、一体
なぜこんなところにお花見なんてしてるのだろう。
老若男女、
とまではいかないが、子供と大人が仲睦まじく瑞々しい草っ原に寝そべっている
それに、幼稚園生だろうか。
たくさんの小さい子たちをつれた女の人が指揮をし、歌っている。
とうてい思い出せそうにはない、
だが、どこか懐かしい歌
一瞬、ここがどこだか忘れそうになる
風でかすかに髪が揺れる音と、
規則正しい足音。
どうやら、待ち人来たる
のようだ。
「…君、だね?」
視線だけを返す
「…僕は、伊月。
華城藍カシロアイさん、でいいのかな?」
「ええ、もちろん」
少し早口になってしまったかもしれない、と少し反省。
でも、仕方がないでしょう?
なにしろ転校生は生まれて初めての体験
それに学校で、転校生ほど緊張する人っていないと思うから
もともと社交的なタイプでもないし…