どうぞ、ここで恋に落ちて
樋泉さんの腕が、私の身体をゆっくりと床に横たえた。
震える瞼を持ち上げた先では、淡く色付く頬や形のいい濡れた唇がとことんセクシーな樋泉さんが、目を細めて私を見下ろしている。
「俺も、きっと古都が思う以上に、古都が好きだよ」
彼は手始めに私の前髪をかき分けておでこに唇を落とすと、眉間や瞼や鼻先を伝って、そこら中にキスを与えた。
樋泉さんの指がシャツのボタンを探し当て、首元を開いていく。
首すじを通って鎖骨に吐息が触れたとき、その熱に背中が震えて床が小さく軋んだ。
一瞬止まった息を吐き出すと、思った以上に擦れていて恥ずかしくなる。
まだキスをされてるだけなのに……!
込み上げる涙を堪えながら樋泉さんのシャツにしがみつく。
すると胸の下までボタンを外した指が止まり、重なっていた身体が少し遠のいた。
伏せていた視線を上げると、樋泉さんが床についた手のひらをギュッときつく握る。
次の瞬間、彼は私の頭の横にゴツンとおでこを叩きつけた。
「えっ、な、なんっ」
驚いて目を見開く私を残して素早く身を起こすと、私の背中と腿の後ろにサッと腕を差し込む。
されるがままの私は身体が浮くのを感じた後、側にあったベッドの上に寝かされて、ぽかーんと口を開けたまま樋泉さんを見上げていた。