どうぞ、ここで恋に落ちて
23.二度目の夜
その日の閉店間際。
私は上機嫌に心の中で鼻歌を歌いながら、たくさんのお客様に手にしてもらったことで乱れた棚の本たちを整理していた。
きれいに並べ直し、間違った場所に置かれているものは元の位置に戻す。
こうしておけば、明日の朝の開店準備をする人はかなりラクになる。
それにしても、今日は素敵な一日だった。
小牧の奥さんには新しいイベントコーナーを褒めていただいて、ちょっぴりトラウマだった親子にも私の企画したコーナーを楽しんでもらえたと思う。
やよいはる先生のサイン入り色紙が飾ってあることを知っていたからなのか、一期書店が初めてらしいイケメン男性も来店してくれた。
橘くんと色葉ちゃんの動き出した恋の行方も気になるところだし、乃木さんとアリサさんがなんだかんだ復縁できそうなのも嬉しかった。
一時はどうなることかと思ったけど、みんなの協力を得ながら、一期書店らしい企画にできて本当によかったと思う。
コンセプトの発想のきっかけになった『プリマヴェーラ』のマスターにも、お礼をしに行きたいくらいだ。
「すみません、店員さん。ちょっとよろしいですか」
一日を振り返りながらどんどん作業を進めていると、突然背中に声をかけられた。