どうぞ、ここで恋に落ちて
待ち合わせ場所に立っていたときから道行く人の注目を集めている彼は、太陽も嫉妬しちゃうくらいにキラキラしていて、私はとても直視できない。
彼は私を見つけたときからはにかんだように笑ったり、いつもよりくだけた口調で話してくれたりと、まるで機関銃のように胸きゅんを乱射してくる。
真夏の太陽の熱さよりも、樋泉さんにくらくらさせられちゃう。
彼に案内されて入った冷房の効いたレストランで一旦クールダウンをしてから、正面に座る樋泉さんをそっと盗み見た。
よく考えれば、スーツ姿でない樋泉さんを見るのはこれが初めてなんだ。
今日の樋泉さんはおしゃれなネイビーのジャケットとパンツのセットアップに、インナーはカジュアルな白のカットソーを着ている。
気品と色気のバランスが、いつもより少しだけ色気のほうに傾いていると思う。
「高坂さんは肉と魚、どっちにする?」
「えっと、お魚で」
「りょーかい」
ニッと笑った樋泉さんと目が合うと、心臓をギュッと鷲掴みにされたみたい。
今日の樋泉さんがいつも以上に魅力的ですごくすごく素敵なのには、理由があると思うんだ。
それは……。
「あのぉ、樋泉さん」