わたがしとキス


♪廉side♪


「お!ももかちゃん」

隣の勇人がいきなり叫ぶから、俺はケータイを触る指先から

視線を移した。


あー、この間の子か。

ももかだよな確か。



彼女は勇人ににっこり微笑んで「こんにちは」と

近寄ってから、勇人の少し後ろに立つ俺を遠慮がちに見え上げて


軽く頭を下げた。


...俺ってそんなに怖がられてんの?

まぁ確かに、勇人のフレンドリーさなんて俺には微塵もないけど

それでも今までの女達はそんなの気にせずしつこいくらいに


言い寄ってきた。


....へぇ、なんか新鮮。



「ももかちゃん今帰り?」

「あっはい!」

「あれ?鈴ちゃんは?」


「鈴は委員会があるので...」


すると勇人はチャンスだって顔で俺をチラッと見た。


「じゃあさ!俺らと帰ろうぜ?」

「えっ?」


もちろん彼女はその小さな肩をビクッとさせ

大きな目をさらに見開いていた。

「どーせ俺らも今帰るところだし、なぁ廉!」

「あっあぁ..」


突然話し振るなよバカ。
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