わたがしとキス
「まぁ仕方ないだろ」
「あぁ...ごめんな?ももかちゃんも送ってやれなくて...」
「えっいえ!大丈夫です!」
「ってことで、ももかちゃんは廉に任せた!」
...は?
それだけ言うと勇人は一目散に走っていった。
目の前で待つももかを見てみれば
それは気まずそうに俯いている。
...これって俺といるほうが居心地悪いよな?
けど暗いし、それに勇人になんていわれるかわかんねぇし。
「帰るか...?」
「えっと...」
「家どこら辺?」
「ここから2駅です...」
「あ、まじ?なら俺も同じだし、帰ろうぜ?」
「あっはい...」
俺はももかの手から鞄を奪って歩き出す。
「あの...鞄...」
「満員だし持つよ」
「すみません...」
この時間は一番込んでる。
乗り込むとやっぱり満員で、俺は入り口の隅に
ももかを覆うようにして立つ。
「ここです...」
満員電車から解放され少し歩いたところで
ももかは足を止めた。
「ん、鞄」
俺は鞄を渡すとそのまま歩き出す。
俺の家はここから5分くらい....近くて助かった。