わたがしとキス
「あの!」
静かな住宅街に響いたももかの声。
振り向いてみれば、10メートルくらい先から
走り寄ってきて俺をじっと見上げた。
「あの..っ、送ってくれてありがとうございました柏木先輩!」
そして軽く頭を下げる。
「あぁ、またな」
俺はももかの頭をポンッと撫でて歩き出した。
...柏木先輩か。
勇人は勇人先輩で、俺は柏木...苗字。
自分でもなんでこんなこと考えているのかなんて
わからなくて、けどただひとつ言えることは
ももか、アイツは俺を怖がってるってこと。