わたがしとキス
「具合悪くていきなり倒れたんだよ」
「.....」
「なんだよ?....なんもしてねーって」
...って言うのは嘘か。
けどこんなこと言えるわけでもなく。
「そうか...って、ももかちゃん可愛すぎだろ」
勇人は納得したのかももかが眠っていることをいいことに
ぐっと顔を近づけてももかを見る。
...おい、近くねぇか?
なんて俺の言えることじゃないけど。
「んん...」
するとそのさわがしさに目を覚まして俺らをみた。
「あれ...えっと」
「大丈夫か?お前いきなり倒れてくるから焦った」
「えぇっうそ...あたし」
それを聞いてあからさまに顔を赤く染めて照れるももか。
「ももかちゃん、寝顔もチョー可愛いね?」
「えっ...や、やめてくださいよっ」
そして勇人のその一言にさらに照れて苦笑いを返す。
...へぇ、この反応。
勇人のことが好きなのか?
2人のやり取りを黙ってみてる俺...
さっきから2人で照れ合ってなんつーか、ムカつく。
「次は廉じゃなくて、俺が助けるから!な?」
「いや大丈夫ですよ勇人先輩!...あと柏木先輩ありがとうございます」
なにが『あと』『柏木先輩』だよ。
俺はももかに視線を合わさないまま
「俺戻る」
「えっ...」
「なに?廉大丈夫なのかよっ」
2人を無視して保健室をあとにした。
...あからさますぎたか?今の態度。
ってか俺、なんでこんなにムキになってんだよ
たかが聞きなれてる勇人の冗談に。