わたがしとキス
俺と別れた直後に付き合った先輩とは
未だに続いているらしく、
遠距離なのに頻繁に会っていて
そのたびにノロケを聞かされる。
なのにそんな彼氏がいるのを知っているのか知らないのか
後輩は、いや同じ3年のやつも
たびたび美桜を呼び出してみれば見事に完敗。
俺からしたらご苦労さんって感じだよ、どっちも。
「お疲れ」
笑顔で戻ってきた美桜にそういえば
いつも決まって「振っちゃった...申し訳ないなぁ」と
顔をゆがめる。
「しかしお前もよくそんなに毎回良い態度してられるよな?」
俺ならマジで無理。
「それは廉が無神経なだけだもん。普通に考えて告白って簡単なことじゃないのに、あたしのために勇気出してくれてそれをこっ酷く振るなんてきついよー」
「...まぁ、そんなこと言われたって俺はこのままだし?」
「ふふふ、それでもモテ続ける廉はすごいよ!」
「彼氏いんのにモテ続ける美桜もな」
「あーっあたしたちってスゴイのね?」
窓の外に目を向けてみれば
じりじりと太陽が照り付けている。
あぁ、夏か。
俺は日差しをさえぎるようにカーテンを閉めて
ため息をこぼした。