【短】流星☆BOY〜星に願いを〜
 買った雑誌をカバンに押し込んで、ひっぱるようにリュウセイと学校へと到着する。


 ブレスレットはリュウセイにだって秘密だ。

あたしがこんな手作りとか、ましてやアクセサリだなんて似合わな過ぎるもの。



 リュウセイがやってきた頃、無理やり隣になった席順。

今では1列挟んだ横になっていた。


 相変わらず教室のド真ん中であたしは馴染めてはいないけれど…。


「橘さん、おはよう」

「お、おは…よう」


 もうすぐトモダチが出来そうだ。

 あんな遠巻きに見ていたクラスメートが、近頃挨拶をしてくるようになった。


 当初はものすごく不自然で、あたしですら気味が悪かった。

でも、最近よく話しかけてくれる白河さんが言っていた。


「気難しいけど、思ったより素直だよね」


 どうしてそうなったのか不思議だ。


ただ原因があるとすれば……


 頬杖をついてチラリと視線をずらす。

そこには、やっぱりたくさんの人に囲まれて嬉しそうに笑うリュウセイ。


 あたしのトゲトゲしたキモチは、彼がもつ極上のハチミツスマイルによって溶かされていくのがわかる。


嫌だ、と心から押しやろうとしたって…結局、あの甘い笑顔にあたしはなにもいえなくなる。



 だから―……。


あたしは自分の気持ちすら、見えなくなりそうなんだ。
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