【短】流星☆BOY〜星に願いを〜
 楽しそうに革靴を履くと、あたしの背中をぐいぐいと押し始める。

「ほら、早くいこ!」

 いつもの時間よりすこし遅れているのは、もたもたとしてたリュウセイのせいなのだけど。

やっぱりあたしもどこか浮き足立っていたから、その一言はいえなかった。


「い、いってきまーす!」

 とにかく、ぱたんと扉が閉まる前に、あたしは家の中にいる母に向かって叫んでいた。




「一日ぶりなのに、すごく久しぶりに感じるよ!」

 隣ではにこにこと歩くリュウセイ。

でもその言葉を信じられるわけがなかった。


「な、なにいってるの?……リュウセイがいなかったのは、一週間よ?」


 そう、ずっと…待ちわびていたんだもの。

こうして隣で歩くのを。


「ええっ、本当に?」

 当の本人も驚いていたけど……「ま、いいか」と笑ってた。

やっぱりリュウセイはリュウセイなのだと思わざるを得ない。


 たった数時間前に、何も言わないで戻ろうとしていた幼馴染たち。

リュウセイは、悲しみに明け暮れることはなく、案外すぐに立ち直ったから、あたしが拍子抜けしてしまった。


「リゲルとベティなら、大丈夫」


 その意味は、今のあたしにはわかるから。

そうね、と頷いておいた。


「あ、そうだ!」


 あたしは、どうしてもリュウセイに言いたいことがあったのだ。

足早にリュウセイの目の前に立ちはだかると、その歩を止めてくれた。


 ギン、とすこし睨み上げると、リュウセイは困惑してた。


< 80 / 88 >

この作品をシェア

pagetop