【短】流星☆BOY〜星に願いを〜
 リュウセイは、ズルイんだ。


怒っていたって、あの糖度の高いハチミツスマイル。

泣いていたって、優しく抱きしめてくれるんだもの。


 これじゃあ何をしたって、あたしに勝ち目はないわ。


「…ぃっく……、リュウセイの、バカぁ…っ」


 あたしのおでこが、リュウセイの丹精な顎とピタリとくっついた。

リュウセイが一人で先を歩いていくみたいで、寂しい。


「ヒメリ、聞いて…?」

 リュウセイの声が、じわりと鼓膜に溶ける。

いやだといっても響くから、あたしはしゃくりを残しながら耳を傾けた。










「……ただいま、ヒメリ」






 どれだけ渇望しただろうか。

リュウセイが帰ってきたのだから、あたしはただ喜べばいいだけなんだ。



 さらに熱くなる目の奥に、やっぱり素直になれなくて。


どうやら宿題は、まだ続きそう。



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