GET!~アイツを振り向かせたい気持ちは120%~



「そういえばさ」
車の通りが少なくなった道で、俺の少し後ろでこぐ城薗が言う。


「さっき、少し聞こえちゃったんだけど……志摩の話。好きな人とかのって中学の時の話?」


げ。あれ聞こえてたのかよ。


「そうだよ。俺意気地無しだからさ、なかなか好きな人にアタックできなくて、な?快二」


「お、おー。相手も全然気づかなくて、別な奴と付き合ってたっけ?」


「そうそう」


城薗の反応が気になる反面、昔の准の懐かしい話を思い出していた。


「ふーん。そうなんだ」


あ、この様子だと、あんまりいい顔してないな、城薗。


「今も好きなの?その人のこと」


それでも、彼女はめげないらしい。


「そういうのはないけど、幸せだったら……彼氏と上手くいってればいいなってのは思うな」


准の言葉の後、横断歩道はちょうど赤信号になり、俺達はこぐのをやめた。


「……よかった」


車の音で消されるような小さな声が俺の耳に届いた。声の主の城薗を見ると、少し下を向いて笑っていた。


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