GET!~アイツを振り向かせたい気持ちは120%~
「いつもより可愛くなれよ~」
そんな願いがすぐに叶うはずもないことは分かってる。それでも、今日はいつもよりも、お願いしたくなる。
今日もあたしの目は奥二重。志摩の目に可愛く映りたいから、アイプチ片手に鏡とにらめっこ。
「んー、よしっ」
数回瞬きをして、鏡に向かって笑顔の練習。うん、今日もバッチ……
「何やってんだ、奈央」
鏡越しにお父さんと目が合った。
「なっ、なんでもないっぜー!」
そう言い残してすぐさま部屋へ逃げたあたし。お父さんに見られるとか最悪なんだけど。大きなため息をつきながら制服へ着替えた。
「おはよう、奈央。冷蔵庫すごいことになってるわね~」
リビングへ行くと、お母さんがキッチンから顔を出す。冷蔵庫の中は、あたしの手作りショコラのラッピングだらけなのだ。
「今日は大事な日だからね。頑張ったよー」
コテの電源を入れた後、大きなあくびをしながらイスに座り、用意されていた朝食を口にするあたし。