GET!~アイツを振り向かせたい気持ちは120%~
「それ、アイツに渡すの?」
快二の声が教室に響く。いつの間にか教室には誰もいなくて、あたしと快二の2人きりとなっていた。日直も日誌ノートを広げたまま、席を外していた。
「うん。今から渡しに行くよ」
快二が指差したのは、カバンからチラッと見えている、志摩へ渡す袋。
「……そっか」
「うん。それじゃ、あたし行くねっ。快二も部活頑張って!」
立ち上がったあたしは、快二にそう言うと教室のドアへ向かった。
ううん、向かおうとした。
だけど、快二に左手首を掴まれて、そのまま立ち止まってしまった。
「快二?」
快二を見ると、快二は床へ視線を落としていた。
どうしたの、快二?
「……それ、俺にくれよ」
「え?」
ポツリと呟いた快二は、立ち上がってあたしの目を見て言う。
「准に、渡すなよ」
初めて見た、快二のこんな真剣な目。