GET!~アイツを振り向かせたい気持ちは120%~
「な、奈央っ」
彼女は立ち止まる。周りに他の生徒がいても、冷やかす奴がいても今だけは伝えなきゃ。
「……って呼べるように頑張るから、その、少しずつ」
でも、やっぱり恥ずかしい俺はすぐさま俯いた。近づいてくる足音。見つめる俺の足元の近くには、別の足が視野に入り、俺はすぐさま顔を上げる。
「ぎこちないっつーの」
ニコッと笑った城ぞ……な、奈央。
「ていうか、俺のことも名前で」
「やだ無理!」
え。
「自己中だけど、志摩のこと……名前で呼ぶとか恥ずかしすぎるっ」
「ふっ、なんそれっ。好き好きアタックしてきたくせにー」
「う、それとこれとは別!」
正直、名前で呼ばれたい気持ちはある。
たけど、まだこの照れ臭そうな彼女を見ていたいと思うから、急がなくてもいいかな。
少しずつでいい。
距離が縮まるといいな。
「奈央」
「……っ!ヤバイ!志摩タイム!やっぱ不意打ちは嬉しいけど、やだっ」
この反応もしばらくは楽しめそう、かな?
*終わり*