GET!~アイツを振り向かせたい気持ちは120%~
「またお礼言わなきゃね」
准がふっと笑って、もう1枚クッキーを口にした。
これは、城薗が准のために作った差し入れ。まぁコイツの勘違いのおかげで、俺達部員まで食うことが出来てんだけど。
城薗の奴、頑張って早起きして作ったんだろうな。俺の手に残っている、食いかけのクッキーを見つめてそう思った。
でも、だな。
これを食えてラッキーだ。
城薗の作ったもんを食える機会なんてねーし、ましてや食いたいって俺が言っても作ってくれねぇだろうし。
他の女子からも、さっき差し入れをもらったけど、嬉しいのはこの城薗のクッキーだった。
准へ向けられた、俺宛じゃないクッキー。
「快二、まだ食べる?」
そう聞く准。
『……バカ志摩』
さっきのアイツの顔を思い出した。准に食べてもらいたいんだって顔しやがってた。
「俺腹壊したくねーし、もういいわ。お前全部食えよ」
本当はまだいくらでも食える。でも、アイツの思いを知っているから……。
「では、いただきますっ」
これでよかったんだよな。
俺、いいことしたんだよな?