僕の許嫁(仮)が怪しすぎる!
「円治、大丈夫かい?…ひどい汗じゃないか。こんな遊びはもう終わりだ。帰るぞ。」
蒼一朗は、指を離した。…瞬間、葵と茜が「アッ!」と叫ぶ。
「あなた、ダメよ。勝手に指を離しては…こつくり様がお怒りになるわ。」
「バカバカしい…いや、分かった。泣くな。」
葵の目が、潤んでいるので、蒼一朗は指を銅貨に戻した。
「こつくり様、うちの人が申し訳ありませんでした…。」
しかし、銅貨は突然激しく動き出した。
ゆ、る、さ、な、い、…。
「まあ!何てこと。蒼一朗さん、貴方も謝ってくださいな。」
「分かった。…指を動かしているの、茜さんだな。からかうのはよして、早く旦那を寝かせてやってくれ。熱があるんじゃないのか?」
「ひどい!私は動かしていません。神に誓って、そんな事はしません!」
蒼一朗は茜の態度に困惑し、さらに顔から血の気を失っている円治が心配でならなかった。
「私が悪かった。こつくり様、もうお帰りになってはいかがですか?」
ゆ、る、さ、な、い、…。
「あなた、そういう言い方ではいけません。こつくり様、さらに怒りを増しておられますわ。」
「そんな事より、円治を医者にみせなくて良いのか?」
蒼一朗は、疲れきっていた。