軍平記〜その男、村政〜
仙台城下はにわかに騒然としていた。
10日前に出撃した三万もの青葉軍が全滅したと言う話に城下は騒然としていた。
松代との戦争も危惧された。
噂では大蝦夷国も青葉を狙って侵攻してくると囁かれた。
その喧騒の中、青葉に到着した村政と総司。
おそらく極衆は情報収集に各地へ散らばっていた。
青葉国首都仙台城下。
政治と司法の力が強い町だ。
思想統制も盛んに行われて、危険思想を持つものは粛清されていた。
勝手知った町。
二人は旅籠に泊まり、様子を伺う。
どうやら治安維持の部隊は城へ集結しているらしい。
町中の警備は手薄になっていた。
青葉国軍を編成すべく城は混乱していた。
残存兵力は青葉国総勢三万五千。
今回の戦争で半数の兵が戦死した。
大蝦夷国国境守備兵一万。
赤城国国境警備に守備兵一万。
松代国国境警備に守備兵五千。
各領地及び本国軍一万。
再編成し、松代軍に二万。赤城軍に一万をぶつける。
大蝦夷国には停戦の要請を出す。
成功するかは解らないが。
ただ、急な為未だ命令系統は混乱している。
「なんたる失態!!」
貴場藤十郎は怒っていた。
「三万もの精鋭部隊が僅か10日で全滅とは!」
「一体何があったのか!誰も詳しく説明できる者がおらんとは!」
伝わった情報は、松代の裏切りと三つ巴の戦いの報告だけだった。
本来、一人が壊滅にまで追いやった事実など到底誰も納得出来ない事実なのである。
まして、それを見たものは居ない。
報告のしょうもない。
「青葉国の威信に懸けて松代は倒さねばならぬ。至急、兵の編成を進めよ!抜かるな!」
貴場藤十郎は更に人材の配置にも指示を出す。