*片想い*
ーーキーンコーン、カーンコーン……………。
チャイムが鳴ると同時に授業が終わる。
「「「ありがとうございました。」」」
挨拶するのは、委員長と少し生真面目な奴ばかり。
あと、ふざけている男子くらい。
黒板を見てみると、どうやら今さっきの授業は数学だったらしい。
意味のわからない呪文のような数式がいくつも書いてある。
どうりで、眠りこけている人たちが多いと思った。
私は寝ていなかったけどね‼︎
……ーーと言いながら、よそ見していたが。
まぁ、そんなコトよりも聞きたいコトがあるからして、私はマコトの席へと向かった。
マコトはまだ、ノートをとっていた。
横から覗いてみると、
最初の方は書けているが、途中から人間の字ではないかのように、汚い。
「授業中、寝てたでしょ?」
「そういうヒロは上の空だったよね?」
「「あははっ!」」
ーーやっぱり私たちは似ている。
似てないところと言えば、
私も上の空でノートとっていなかったが、マコトはちゃんと書いているという点だ。
そういうところは、やっぱ見習わないとな……。
「黒板消すわよー、」
委員長の渡辺さんが、黒板の数式を消そうとする。
「待って、待って、待って~~~っ!!?」
そんな、慌てたマコトに私はまた笑う。
一ノ瀬くんのコトを聞くのは、また次の授業のときにしよう。
すぐそこにあるご褒美を、
胸の奥へとしまった。