*片想い*


ーーキーンコーン、カーンコーン……………。



チャイムが鳴ると同時に授業が終わる。




「「「ありがとうございました。」」」




挨拶するのは、委員長と少し生真面目な奴ばかり。



あと、ふざけている男子くらい。






黒板を見てみると、どうやら今さっきの授業は数学だったらしい。


意味のわからない呪文のような数式がいくつも書いてある。




どうりで、眠りこけている人たちが多いと思った。






私は寝ていなかったけどね‼︎



……ーーと言いながら、よそ見していたが。







まぁ、そんなコトよりも聞きたいコトがあるからして、私はマコトの席へと向かった。





マコトはまだ、ノートをとっていた。



横から覗いてみると、


最初の方は書けているが、途中から人間の字ではないかのように、汚い。




「授業中、寝てたでしょ?」



「そういうヒロは上の空だったよね?」






「「あははっ!」」


ーーやっぱり私たちは似ている。





似てないところと言えば、



私も上の空でノートとっていなかったが、マコトはちゃんと書いているという点だ。







そういうところは、やっぱ見習わないとな……。





「黒板消すわよー、」


委員長の渡辺さんが、黒板の数式を消そうとする。





「待って、待って、待って~~~っ!!?」



そんな、慌てたマコトに私はまた笑う。





一ノ瀬くんのコトを聞くのは、また次の授業のときにしよう。





すぐそこにあるご褒美を、


胸の奥へとしまった。



< 13 / 14 >

この作品をシェア

pagetop