*片想い*
ーーいた!
今日も同じ時間に登校できた。
今日は昨日より、3m距離が近い。
(…………ような気がする。)
一ノ瀬くんの後ろから、
走って挨拶して来たのは…
【山田 和也】(やまだ かずや)、
一ノ瀬くんとは、
同じクラスで一番仲がいい。
髪を金髪に染めていて、
一見、チャラ男の様にも見えるが、
一ノ瀬くんとも身長はそんなに変わらず、
内面もとても優しく、
私も一度、ノートを運ぶのを手伝ってもらった。
そんな彼も、またもやイケメン。
そんな仲がよくて、
紳士で優しい2人のイケメンを狙っている女子たちは、
少なくとも、この学校の4分の3はいるだろう。
ーーと言うか、いないはずがない。
現に、
毎朝のこの登校時間には、
仲良しイケメン2人組が登校すると、
桃色の歓声が響き渡る。
「「「「キャーーーーーーーーーーーーーーッ!!」」」」
しかし、その声は意外と小さく、
男子には聞こえないらしい。
その声は、私たち“女子”にしか聞こえないのだ。
企んでいるにしても、
わかり易すぎてき、逆に怖い。
そんな静かな歓声をあげている中には、
もちろん、私もいる。
顔に出さない分、
心の中は大騒ぎの、大慌てだ。