ホップ・ステップ・飛び膝蹴り
「先輩冷たい! でも好き!」
めげなさすぎてそろそろ怖いぞお前。
しっしっ、と追いやるようにしていると、大成が黙りこむ。
「大成先輩、おれたちのことどう思います⁈」
「……付き合えば?」
今のは、誰の言葉なんだろう。
尚、のわけないし。
もちろんあたしでもない。
他の部員はいないし、じゃあ、じゃあ────、
「お前らって、結構お似合いかもな」
ふっと吐き出すように笑ったのは、あたしが好きな人。
「お前が、お前、っ……」
「俺がなんだ?」
言えるわけがない。
────お前だけはそれを言うな、なんて。
あたしは、好きだとも言えてないんだから。
「じゃあ李穂先輩。
とりあえずおれとデートしましょ、デート!」
大成先輩、いいっすよね? ときらきら笑顔。
眩しくて、目に痛い。
「李穂の好きにしろ」
「……言われずとも、あたしは好きにやってる」