ホップ・ステップ・飛び膝蹴り
あっという間に5月がやってきた。
いつも笑ってふざけて口にしてくる好きの言葉が。
それがこんなにも重たいのに甘く響くとは思っていなかった。
昨日だって言われた。
今日だって言われた。
多分、きっと明日も。
それが、こそばゆくてたまらない。
きゅっとあたしの手元からの音。
ダンダン、と静かな体育館に響く、ゴール下の大成からの音。
反響して、混ざる。
そっと視線を上げた。
汗を流して息を荒げていても、やめずに練習する大成の姿。
────あたしは大成が好きだ。
あの日から、初めてまともに言葉を交わした日からずっと。
上手く話せなくて、憎まれ口をたたいてばっかで、すぐに足が出て。
だけど、視線の先にいたのは大成だった。
そのはずなのに。
突然、あたしの目の前に尚が現れた。
おれを見ろとあたしに笑う。
あいつのことも頭から離れないんだ。
あたしって軽いやつだったんだな。
なんてちょっと調子に乗ったことが頭をよぎる。
似合わなさすぎて、自分で自分を笑っちまうよ。