ホップ・ステップ・飛び膝蹴り
「キャプテン、頑張って。
しっかり見極めろよ」
「……ああ」
震えた声に触れないでくれる大成。
その優しさに複雑な心境になる。
訊いて欲しかった気もする、なんてわがままだよなぁ。
「李穂」
「ん?」
「なんかあったら、言えよ」
そう言って、大成があたしの頭をぽん、と軽く撫でる。
うん、と小さく頷いた。
やけに小さな掠れた声だった。
「じゃ、おやすみ」
そう言われて、もうあたしの家に着いていたことに気づく。
大成ってあたしの家、覚えてたんだな。
「……おやすみ。
大成もちゃんと休めよ」
優しい言葉、態度。
……知ってる。
みんな、知ってるんだ。
いつだってこいつは周りを見てるから。
だから、こんなあたしにだって優しくできる。
「畜生……っ」
あたしの気持ち、どこにあるんだろう。