ホップ・ステップ・飛び膝蹴り







体育館に戻ってふたりが軽くストレッチ。



1on1で時間制限はなし。

1本1点にして、先に5点取った方が勝ち。



本来なら、身長の高い大成の方が有利だけど、尚の方が技術は上。

……どっちが勝つか、わからない。



あたしが言い出したことだけど、これすっごい恥ずかしいな。

逃げたい。



……でも、逃げられない。

ここだけは、逃げちゃいけないんだ。



ピーッと響く笛の音を合図に。

先に動いたのは尚。



あっという間にゴール下に入りこんで、レイアップシュートを決めた。



「先手必勝っす」



尚がにっと笑った。



周りの冷やかしの声が、応援が、聞こえなくなる。

あたしに見えるのも、もうふたりだけ。



1点、また1点と取り合う。

最初の速攻以外は互いに貼りついて、ドリブルだけでもしんどそう。



ボールを奪い合いながら、決められた枠の中をふたりが駆け回る。







< 32 / 40 >

この作品をシェア

pagetop