ホップ・ステップ・飛び膝蹴り
まっすぐな想いが眩しかった。
尚と話すのも正直に言えば嫌いじゃなかったし、ときめくことだってあった。
……だけど、違う。
上手く話せなくて、苦しくて。
それでも────あたしが好きなのは、ただひとり。
「大成────っ!」
聞こえてるだろ。
ちゃんと届いてるに決まってる。
「負けたら殺す!」
「はっ」
殺されるのは困る。
そう小さく口にして、大成が後ろに飛ぶ。
羽があるみたいに軽く、ジャンプシュート。
そのまま、手から綺麗な弧を描いたボールがすとん、とネットを跳ね上がらせた。
勝ったのは、大成だった。
息つく間もなく、あたしのところまで来た大成があたしの腕を掴む。
「李穂先輩」
尚の呼びかけに振り向く。
「……大好きっす」
そう、泣きそうに笑うあいつに言えることなんて、簡単には出てこなくて。
だけど、
「あたしも、あんたのバスケは好きだ」
そのまま、あたしは大成に引かれるままに体育館を出て行った。
あとはみんながどうにかしてくれるだろ。