ホップ・ステップ・飛び膝蹴り
至近距離で微笑みを向けられて。
反射的に額をごんっ、とぶつける。
「いてっ」
「蹴ってばっかでごめん!」
「っ、」
「いっぱいごめん!」
「いいよ」
それがお前の愛情表現だろ。
そう言って大成があたしを抱き締めた。
可愛くなくて、男勝りで、暴力的で。
こんなあたしよりいいこなんてあちこちに溢れてる。
ホップ・ステップ・飛び膝蹴りとか、そんなふざけてる。
最低な愛さえも許してくれる。
受けとめてくれる。
だから、素直になりたい。
……素直になれる。
「────────好き」
大成の背に、あたしも腕を回した。
どうかあたしが大成を傷つけたりしないように。
ぎゅぅっ、と強く。
────強く。
この腕の中にいる瞬間だけ。
あたしだって、オンナノコなんだ。
「とりあえず、他の男を蹴るのは禁止で」
「なんで」
「妬けるから」
「……くそが」
fin.